風邪でよく処方される抗生剤!その効果ってホントのところどうなの?
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
急にめちゃくちゃ寒くなって風邪などひいてはいませんか?
今年はインフルエンザの予防だけでなく、新たな感染症にも気をつけないといけないので皆さんも一層神経質になっているかもしれません。
これだけ急に寒くなると、どれだけ予防していても風邪をひいてしまう人もいるでしょう。
そんな時、病院へ行きお薬を処方してもらうわけですが、
「先生、抗生剤飲んだ方が早く治るんやろ」って質問、リクエストする患者さんも少なくないようです。
ハヤシ
確かに風邪の時って抗生剤飲むと治る感じする。
ぱっつん
そやね。
でも、抗生剤を万能薬のように思ってる人もいるけど、残念ながら抗生剤は風邪には効きません。
ハヤシ
えっ~!
ぱっつん
今回は抗生剤が風邪に効かない理由、抗生剤が使われる場面を中心にお話しします。
是非ご参考にしてください。
抗生剤は風邪には効きません!その理由とは?
のどの痛み、鼻水、せき、痰、そして発熱といった症状をいわゆる「風邪」と言います。
そして、こうした症状の原因のほとんどがウイルス。
ウイルスが鼻やのどの粘膜にくっついて炎症を引き起こした結果、こうした症状を引き起こすのです。
「ウイルスに感染したんやったら、抗生剤飲んだらええやん!」
そう思う人もいるでしょう。
でも、残念ながら抗生剤が効くのは細菌。
ウイルスには抗生剤は効かんのです。
ハヤシ
マジ!?
ぱっつん
細菌とウイルスって違うの?
細菌とウイルスは全くの別物。
構造も大きさも全然違います。
抗生剤は細菌に対してその構造を壊したり、増殖を抑えることで効果を発揮するねん。
例えば、細菌の細胞の壁を壊したり、仲間を増やすのに必要なタンパク合成を邪魔したりして。
ハヤシ
へぇ~
ぱっつん
そして、それもこれも全部細菌に対してなんや。
ハヤシ
すなわち、ウイルスではなく細菌に狙いを定めて開発されたのが抗生剤であり、その効果は当然細菌に対してもの。
抗生剤が抗菌薬とも言われるのはそのためです。
風邪には抗ウイルス薬がいいってこと?
とすると、「風邪をひいた時はウイルスのせいなんだから抗ウイルス薬を飲めばいいやん!」と思うのも当然。
しかし、このウイルスって言うのが厄介なのです。
ハヤシ
そうなん?
ぱっつん
風邪を引き起こすウイルスにはホントに色んな種類があって、インフルエンザみたいに「これ!」ってぴったりと合う薬を作るのは難しくて特効薬もなかなか作れないんです。
今回の新たな感染症で特効薬がなかなか開発されないことでもわかるように。
ハヤシ
確かに...
ぱっつん
だから、一般的な風邪といわれる症状の場合、自分の持っている免疫力で治すのが基本。
そのうえで、状態に合わせたお薬を飲むことで症状を抑える対症療法がとられるんです。
じゃあ抗生剤ってどんな時に飲むの?
ここまでのお話からすると「じゃあ抗生剤ってどんな時に飲むの?」って思う人も多いかと。
実際、風邪の症状で病院へ行ったときに抗生剤が出されるケースもありますし。
風邪の症状で抗生剤が必要とされるケースの例としては、血液検査を行って白血球の数やCRPっていう数値が上がっている時が挙げられます。
白血球っていうのは人の「免疫」作用に大きくかかわってんねん。
「免疫」は体の中に侵入してきた細菌などの異物を排除する機能のこと。
そして、白血球はその役割を担ってるんや。
ハヤシ
それ、アニメの「はたらく細胞」で見たわ!
ぱっつん
だから、白血球の数が基準値よりも高いということは細菌感染の疑いが高いってことになるんやね。
ハヤシ
なるほど。
ぱっつん
また、CRPは体の中で炎症が起こったり、細胞が傷ついたりした時に血液中に増える物質のこと。
これも細菌感染の時にその数値が高くなります(ウイルス性の感染症ではそれほど上がらないと言われています)。
したがって、血液検査を行ってこれら数値が高い時には抗生剤が処方されることがあります。
この他にも急性扁桃腺炎やひどくなってしまった急性副鼻腔炎の場合も抗生剤が使われることがあります。
抗生剤を正しく飲まなかった時のリスクは?
「もう元気になったから飲まんでええかな」なんて調子で、7日間処方された抗生剤を4日ほどで止めてしまうことって結構あるのでは?
ハヤシ
ギクッ
ぱっつん
これ、気をつけて下さい!
ハヤシ
医師の診察を受け「抗生物質が必要」と判断、処方された場合はまずは指示通りに服用することが大切。
なぜなら中途半端に飲むのをやめてしまったり、飲んだり飲まなかったりすると「耐性菌」が増えるきっかけになりやすいと言われているからです。
耐性菌は抗生物質に対して「負けへんでぇ~」てな感じで変化した細菌のこと。
この他にも抗生剤を必要以上に使えば使うほど、増えるきっかけになるとも言われてるんや(薬剤耐性菌)。
ハヤシ
抗生剤はちゃんと指示通り飲まなあかんな。
ぱっつん
こうしたことを加味して医師は抗生剤の必要性を判断して処方しているので、しっかりとその指示に従うようにしましょう。
まとめ
「風邪をひいたら抗生剤を飲めば治る!」とは思わないように。
ハヤシ
ここまで説明してきたように例え熱が出ているような場合でも抗生剤が不必要な場合があります。
決して抗生剤は万能薬ではありません。
風邪をひいたら自然治癒力で直すのが基本。
安静にして栄養をしっかりとること。
そして、症状に対してその症状を和らげる薬を飲む対症療法をとるのが一般的です。
意外と間違った認識をもっている人が多い「抗生剤」のことを正しく理解するためのご参考にしていただけると幸いです。
ハヤシ
薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ