お薬の使用期限ってどのくらい?期限が切れたら飲んじゃダメ?わかりやすく解説してみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
年に何人かの患者さんから
「風邪ひいたんやけど、昔もらった薬が残ってて... 飲んでも大丈夫?」 なんて電話でご質問をいただいたりします。 ハヤシ
そういうのありそうやな。
ぱっつん
食品に賞味期限があるように、薬局で購入したお薬(一般用医薬品)や調剤されるお薬にも「使用期限」というのがあります。
ハヤシ
へぇ~
ぱっつん
一般用医薬品にはパッケージに使用期限が明記されていますが、医師の処方箋によって調剤されたお薬の大半は使用期限が書かれていません。
そのためか?具合が悪くなった際に以前もらって残っている薬を見つけたものの期限がわからず、飲んでいいのか迷ったあげく問い合わせを薬局へされる方がおられます。
今回は特に病院で処方されたお薬の使用期限について、その目安や保管法、期限切れのお薬の取り扱いなどについてお話しします。
きっとあなたのお家のどこかに残っているお薬があるかと思います。
その取扱いについて参考にしていただいて、整理していただくキッカケになるように是非お読みください。
ハヤシ
ちなみに前回はこんなお話をしました。
ハヤシ
薬の使用期限ってどのくらい?
冒頭でもお話ししたように食品に賞味期限があるように、お薬にも使用期限があります。
この使用期限とは
未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限であり、いったん開封されたものについては記載されている期日まで品質が保証されない場合がある
と薬事法に定義されており、
患者さんが安心・安全に使用することのできる期間だと言えます。
ハヤシ
一般的には薬局で調剤するお薬は内服薬で3年程度、漢方薬で5年程度の使用期限のものが多いのですが、これは上に書かれているように未開封状態を指すもので、開封するとその限りではありません。
また、処方された後でも自宅での保管状態が良好とは言えない場合、お薬の効果は少しずつ薄れていきますし、たとえ使用期限が残っていても変色などしていると処分した方が良いケースがあります。
そもそも病院で処方されたお薬は医師が診察した時の患者さんの病状に合わせたもので、あくまで期間内に飲みきるという前提で処方されてるんや。
そういう意味では、病院で処方されたお薬の使用期限は「処方されたその日から処方日数分」と考えるのが正解って言えるね。
ハヤシ
なるほど。
ぱっつん
とは言うものの、残ってしまったお薬もきっとあるでしょう。
それについては以下の期限を目安に処分するようにしよう。
ハヤシ
●錠剤、カプセル剤:処方日から6か月~1年くらい
●粉薬、顆粒:処方日から6か月~1年くらい
●水剤、シロップ剤:処方日から1~2週間くらい
●軟膏・クリーム・ローション剤:開封後、半年くらい
●点眼剤、点耳剤:開封後、1ヶ月くらい
●貼付剤:開封後、1ヶ月くらい
ここまでをまとめると、
市販されている一般用医薬品は、パッケージに記載された使用期限を守ること。
病院で処方されたお薬については、原則として処方日から処方日数分を期限と考えるように。
ハヤシ
オッケー!
ぱっつん
それでも残ってしまったお薬がある場合は処方日の分かっている残ったお薬は上記を参考にそれを過ぎたら処分。
処方日がわからない古いお薬は、すぐに処分するようにしてな。
ハヤシ
了解。
ぱっつん
正しい薬の保管方法を知っておこう!
では、次にお薬の正しい保管方法についてお話しします。
先程からお話ししているように、保管状態が良好でないお薬はたとえ使用期限内であったとしても十分な効果が得られない場合があるのできちんと保管することが大切です。
基本として気をつけておきたいのは、
高温、多湿、直射日光を避けること。
ハヤシ
特に注意書き等がない場合は室温(1~30℃)で保存するようにしましょう。
直射日光が当たる場所や暖房の近くなど極端に温度の高くなるような場所を避け、出来れば乾燥剤などをいれて涼しい場所を選ぶようにしてください。
また、点眼薬や坐薬などの中には冷所保存(15℃以下)が指示されるものがあります。
この場合、凍らないように冷蔵庫で保存するようにしましょう。
この他、糖尿病患者さんでインスリンの自己注射をされている場合、未使用のものは2~8℃が適温なので冷蔵庫に保管し、絶対に凍らせないように注意することが必要です。
使用を開始したら室温で保存し、決められた期限内に使用するようにしましょう。
小さなお子様のいらっしゃる方は子供の手の届かないところに保管することも忘れずに。
ハヤシ
それ大事やな!
ぱっつん
期限切れの薬を飲んでも大丈夫なの?
「風邪をひいた時に、病院に行くのが面倒で以前もらった薬が残ってたから飲んだ」とか「古い薬が残っていて飲んだけど、何ともなかった」なんてことを患者さんから聞くことがあります。
確かにお薬は使用期限が切れた途端、その効果が全くなくなるというわけではありません。
まして、薬局では余っているお薬を持参していただき、日数調整をして調剤することもあります(必ず残薬の処方日を確認し使用期限およびお薬の状態を確認した上で行います)。
しかし、お薬によっては分解し十分な効果が得られないだけならまだしも、有効成分が変性を起こして体に悪さをするものもあるんや。
ハヤシ
えっ、マジで!?
ぱっつん
例えば、有名なところでいうとテトラサイクリン系といわれる抗生物質。
期限が切れて有効成分が変性し毒性を発揮したものを患者さんが服用、腎機能障害を起こしたという事例があります。
こんな風に「ちょっとくらい大丈夫やろ」と古いお薬を服用するのはリスクを伴うことがあるや。
ハヤシ
ホンマ怖いな...
ぱっつん
残ってしまった古いお薬を自己判断で飲んでしまう前に、そのお薬をもらった薬局に必ず問い合わせをしましょう。
薬局にはお薬をお渡ししたデータが残っていて使用期限を確認することが出来るので、その際は対応した薬剤師の指示に従うようにするのが賢明です。
まとめ
飲み忘れたり、調子が良くなったから自己判断で飲むのを止めたお薬がどなたのお家にもあるかと思われます。
そんなお薬を具合が悪くなった時についつい飲むことも多いかと。
ハヤシ
...
ぱっつん
しかし、お薬には使用期限があり、それを越えたものや保管状態が良くないものを服用することは効かないだけじゃなく、かえって調子を悪くするケースも考えられます。
特に病院で処方された薬ついては処方日数内に飲み切ることが大前提であることを頭に入れておきましょう。
それでも残っているお薬に対しては一般的な使用期限を今回記載してるので参考にしてみて下さい。
そして、自己判断で残っているお薬を飲む前に必ずかかりつけの薬剤師やそのお薬を調剤した薬局の薬剤師に確認をする習慣をつけて自分の健康を守るようにしましょう。
みなさまのご健康を願っております。
薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ