漢方薬は副作用ないんでしょ?その疑問にお答えします
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
薬局で患者さんとお話ししていると
「漢方薬って副作用ないんやろ。だから安心やわ。」ってよく言われます。
ハヤシ
そうなんちゃうの?
ぱっつん
漢方薬ってなぜだか「副作用がないお薬」のイメージが強いようですが…
実は漢方薬にも副作用はあるんやで。
ハヤシ
うそ~ん
ぱっつん
お薬なので薬効があれば、副作用があるのも当然と言えば当然。
他の薬との相互作用も注意しないといけないのです。
今回は漢方薬を正しく理解してもらうため、副作用だけでなく正しい飲み方など色々な角度からお話しします。
是非ご参考にしてください。
漢方薬ってそもそも何?副作用ないんでしょ?
漢方薬って聞くと中国のお薬って想像する人がたくさんいます。
確かにその起源は中国なんですが…
それが伝わり、長い年月をかけて日本で独自に発展したのが「漢方」なんや
ハヤシ
えっ、日本のもんなん!
ぱっつん
ちなみにその名前は、江戸時代の中頃にオランダから伝わった「蘭方」に対し、これと区別するために「漢方」と呼ばれるようになったと言われています。
そして、その漢方で処方される薬方が「漢方薬」というわけです。
漢方薬は自然界に存在する植物(薬草の根や茎、葉など)や動物、鉱物の薬効となる部分「生薬」を、通常は2種類以上組み合わせた薬のことを言います。
自然界のものを使っているから「安全で副作用がない」っていうイメージがついたのかもしれませんな。
ハヤシ
例えば、皆さんも良く知っている「葛根湯」。
葛根(カッコン)、大棗(タイソウ)、麻黄(マオウ)、甘草(カンゾウ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、生姜(ショウキョウ)といった実に7つもの生薬の組み合わせからなります。
また副作用についてですが、冒頭でもお話ししたようにお薬ですから当然あるわけです。
「風邪の引きはじめには葛根湯」なんてフレーズでよく耳にする葛根湯にも。
例えば、葛根湯に含まれる生薬のうちのひとつ「甘草」。
滅多にあることではないけど、この甘草は取りすぎちゃうと血圧の上昇、体のむくみ、だるさ、手足のしびれなど副作用の出る可能性はゼロではないんや。
ハヤシ
他の薬と一緒でちゃんと理解して飲まなアカンな。
ぱっつん
だからこそ「漢方薬だから副作用はない」といった間違った認識は捨てて、他のお薬と同様に医師や薬剤師に指示された通り正しく服用することが大切です。
漢方薬の良いところ!残念なところ!
次に漢方薬の良いところ、残念なところ、つまりメリットとデメリットを説明します。
まずは良いところ。
ハヤシ
検査値などの数値では現れない体の不調(更年期障害など)や体質による症状(冷え性など)などいわゆる病名がつかないような「未病」の段階でも治療の効果が期待できます。
つまり、身体の何らかのサインを見つけることで早い段階から治療開始が可能なのです。
わたしの知り合いにも更年期で漢方飲んでる人おるわ。
ぱっつん
ぱっつんやなくて?
ハヤシ
はぁ!?
ぱっつん
これに対して残念なところ。
ハヤシ
いわゆる西洋医学で言う検査値(血圧や炎症反応)といった目に見える評価が難しい点です。
そのためその効果に対して、より個人差を感じることがあります。
最後に良いとこでもあり、残念なところでもあるのですが、
漢方薬の効果って単純に含まれる生薬の薬効を足したものとはちゃうねん。
生薬の組み合わせによって得られるものって考えなあかんねん。
ハヤシ
ほうほう
ぱっつん
だから、その組み合わせによっては効果がすごく強くなったり、逆に弱くなることもあるや。
当然、安全性が大きく変化することもあるんも。
だから、その組み合わせがめっちゃ大事やねん。
ハヤシ
なるほど。
ぱっつん
漢方薬の正しい飲み方とその理由
漢方薬を処方されたことのある人はお薬を渡される時に「食前服用」もしくは「食間服用」を指示されたことがあると思います。
食前:食事のおおよそ30分前
食間:食後2~3時間後
一般にお薬は「食後服用」が多いので、
「なんか面倒やな~」って思うことあるんちゃうかな?
ハヤシ
確かに面倒に思っちゃう。
ぱっつん
でも、これにもちゃんと理由があるんやで。
ハヤシ
漢方薬に含まれる生薬の多くは体の中の腸内細菌によって吸収されやすい形に変えられて効果を発揮します。
そのため、食前や食間といった空腹の状態の方が邪魔されずスムーズに腸内細菌のいる場所に到達することができて、食べ物などの影響を受けずに効果を発揮しやすくなるんです。
ただし、中には麻黄(マオウ)や附子(ブシ)といった腸内細菌の影響を受けない生薬もあります。
こういった生薬を含む漢方薬の場合、胃腸障害のリスク等を避けるために食後服用を指示される場合があるので医師や薬剤師としっかりと相談したうえで服用しましょう。
また、その飲み方については水もしくは白湯(さゆ)で飲むようにしてください。
よく「白湯に溶かして飲んだ方が良いの?」って聞かれる方がいますが、確かにその方が煎じた状態に近くなり吸収が早くなると考えられます。
でも、処方される漢方薬の多くが「エキス顆粒」で煎じたものを加工しているので白湯に溶かしてまで服用する必要はないかなって思うなぁ。
ハヤシ
じゃあ、そのまま水で飲めばいいんやね。
ぱっつん
まとめ
安全で副作用がない薬と思われがちな漢方薬。
しかし、お薬である以上、他のお薬といっしょで効果もあれば副作用もあることを理解していただけたでしょうか?
漢方医学は患者さんの心身の両面を総合的にとらえて自然治癒力を高めるという考えをベースにしています。
だから、問診等の時にはしっかりと体の不調や症状を伝えることがとても大切。
さらに持病をお持ちの方は処方や服用する前にあらかじめ相談するようにしましょう。
ハヤシ
以上、漢方薬を正しく理解して、正しく服用するためのご参考にしていただければ幸いです。
薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ