女性に多くて症状が様々!おまけにわかりにくい甲状腺の病気について薬剤師が詳しくまとめてみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
なんだか最近やたらと疲れたり、汗をかいたり、やる気が出なかったり...
そんな症状にピンときたりしませんか?
特に中高年の女性の場合、こういった症状があると「更年期障害」を真っ先にイメージするかと思います。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
ハヤシ
こうした症状をはじめ、他の疾患とよく似た様々な症状が起きるのが「甲状腺」に関わる疾患。
甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症だったりします。
甲状腺ってよく耳にするわ
ぱっつん
たくさんの症状があるため、見過ごされるケースもある甲状腺にまつわる病気について今回は分かりやすく説明します。
男性に比べて女性に圧倒的に多いこの病気について、女性の方は是非参考にしてみて下さい。
ちなみに前回はこんなお話をしました。
ハヤシ
甲状腺って何?その働きは?
「甲状腺」ってよく聞くけど、実際のところどんなものでどんな働きがあるのか?
よくわからなかったりします。
その病気が女性に多いイメージくらいで。
ハヤシ
確かに
ぱっつん
甲状腺とは喉ぼとけの下にあって、蝶々のような形をしています。
普段は触ったりしてもよくわからないのすが、炎症が起きたりすると喉の腫れとして現れたりします。
そして、この甲状腺はいったいどんな働きをしているのかというと...
脳の下垂体というところからの指令を受けて甲状腺ホルモンの分泌をします。
ハヤシ
甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にするという重要な働きを担っています。
例えば、心拍数や体温、自律神経の調整など。
めっちゃ重要やん!
ぱっつん
甲状腺の病気とその症状
では、甲状腺の病気はどのようにして起こるのか?
本来、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは多すぎたり少なすぎたりしないようにバランスが保たれています。
しかし、何らかの原因で甲状腺の機能に異常があるとこのバランスが崩れて様々な症状が起きるように!
甲状腺ホルモンの分泌が多すぎると...
甲状腺ホルモンが多すぎる、つまり体の新陳代謝が過剰になる状態を
「甲状腺機能亢進症」と言います。
ハヤシ
この場合、自分の意志とは関係なく常に体に活発に働くように指令が下っている状態に。
代表的なものとしては「バセドウ病」が挙げられ、特に女性、それも20~30代に多いのが特徴です。
そんな若い子でもなるの!?
ぱっつん
バセドウ病の代表的な症状である動悸、喉の腫れ、眼球が飛び出して見えるなどの他に、下記のような様々な症状が挙げられます。
~甲状腺ホルモンの分泌が多い時の主な症状~
・暑がり、汗をよくかく
・疲れやすい
・体重の減少(食欲はあるのに...)
・筋力の低下
・息切れ
・首が太くなる(甲状腺の腫れによる)
・イライラ
・手指のふるえ
・軟便
また女性の場合、月経の回数が減ったり、止まったりすることもあります。
甲状腺ホルモンの分泌が少なすぎると...
では逆に甲状腺ホルモンの分泌が少なすぎる場合、新陳代謝が低下するこの状態を
「甲状腺機能低下症」と言います。
ハヤシ
一言でいうと「元気がない」状態。
無気力になったり、だるさを感じたりするほかにも下記のような症状が挙げられます。
~甲状腺ホルモンの分泌が少ない時の主な症状~
・寒がり、冷え
・浮腫み
・体重の増加
・動作が遅くなる
・脈が遅くなる
・眠気
・物忘れ
・便秘
・コレステロール値の上昇
こうした症状から認知症や脂質異常症と間違えられるケースも。
確かに紛らわしいかも...
ぱっつん
代表的な疾患としては「橋本病」が挙げられ、これも男性に比べ女性の方が多く30~40代に多いのが特徴です。
その他の甲状腺の病気
ここまでで紹介した甲状腺機能異常症以外にも、甲状腺に関する病気はいくつかあります。
その一つが甲状腺炎。
ハヤシ
理由が分からないものもありますが、細菌やウイルスの感染によって痛みや腫れ、しこりを起こしたりします。
また、甲状腺腫瘍もその一つ。
ハヤシ
腫瘍と言ってもほとんどが良性であることが多いです。
ほとんどが自覚症状はありませんが、大きくなると違和感やしこりが現れることがあります。
甲状腺の病気の治療法とお薬
甲状腺の病気は上で示したように症状が様々。
そのため、はじめはなかなか甲状腺機能の異常とはわからないケースもあります。
いくつか当てはまる症状がある場合は医療機関を受診、血液検査を受けることがおすすめ。
甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症の治療の基本はお薬による治療です。
ハヤシ
甲状腺機能亢進症であるバセドウ病の場合、甲状腺ホルモンの分泌を抑えるお薬であるチアマゾールやプロピルチオウラシルなどを使用。
そして、症状が安定するまでは激しい運動は安静にするように指導されます。
長風呂も動悸がしやすくなるので避けること。
さらに、喫煙は治療を困難にするケースがあるので禁煙がすすめられます。
ハヤシ
一方、甲状腺機能低下症である橋本病の場合、不足している甲状腺ホルモンを補うためにレボチロキシンなどを使用します。
甲状腺機能自体が治るわけではないので指示通り長く服用を続ける必要があります。
また、甲状腺ホルモンの材料となるヨードを食事等からたくさん摂ると良いと思われることがありますが、摂り過ぎはかえって甲状腺機能を低下させてしまうことに!
昆布などの海藻類をたくさん食べ過ぎたり、ヨードを含むうがい薬を使い過ぎたりしないように注意が必要です。
ハヤシ
これは覚えといた方がええな!
ぱっつん
まとめ
甲状腺の病気の症状は今回お話ししたように様々。
そのため、他の病気と酷似することも多く、なかなかわからないことがあります。
特に中高年の女性の場合、更年期障害と思われるケースも。
今回示した症状がいくつか当てはまることがあったら、甲状腺の病気を疑ってみるのも重要。
甲状腺の病気は正しい治療を受ければ、こわい病気ではないので是非参考にしてみて下さい。
大阪、寝屋川市の薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ