大量の汗がストレスに!多汗症ってどんな病気なの?治療薬はあるの?薬剤師が分かりやすく説明してみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
5月に入りすっかり春らしくなるかと思えば、そんな思いは通り越してまるで夏ような暑さ。
仕事やお出掛けする時も何を着ていいか分からず迷った挙句、予想外の暑さに「汗だくになった」ってこともあるでしょう。
あるよねぇ~
ぱっつん
ホンマに
ハヤシ
そんな状況は夏にかけてますます気温が上がってくると「汗をよくかく」人にとっては何とも悩ましく...
顔や手足、わきなど汗が止まらなくなって、シャツの汗ジミや臭いが気になってストレスに感じる人も少なくないことと思います。
確かに気になる時ある...
ぱっつん
こういった症状はただの汗っかきという場合もあれば、多汗症の場合も。
多汗症は病気であり軽度なら市販薬で対応も可能ですが、重度になると医療機関で治療、場合によっては手術という可能性もあります。
今回は汗をかく症状の中でも「多汗症」についてお話します。
ハヤシ
過剰な汗をかく多汗症はその症状が気になっていてもほとんどの人が治療をしていないと言われ、これからの季節、汗に悩まされないためにも正しく理解しておく必要があるでしょう。
その症状、原因、対策についてお話するので普段から汗に悩まされている方は是非ご参考に!
ちなみに前回はこんなお話をしました。
ハヤシ
汗っかきとは違う!?多汗症って何?その原因は?
多汗症は単なる汗っかきとは違い、過剰な汗をかく病気。
発症年齢は20代中盤が多く、男女比はほぼ1:1と言われています。
ハヤシ
多汗症は2つに分類、その症状は…
そして、多汗症は2種類に分類されます。
1つは「全身性多汗症」と言われ文字通り全身の発汗が過剰な状態であるのに対し、もう1つは「局所性多汗症」と言われわきや手・足の特定の場所に起こる多汗症です。
いずれも重度になるとしたたり落ちるほど汗をかくケースもあり、汗をかく箇所によってはあせもができて皮がむけたりすることも。
また、そうした症状は周りにはなかなか理解されないこともあり、精神的なストレスを感じてしまい心の病を併発することもあります。
精神的ダメージあるかもな
ぱっつん
多汗症の原因
多汗症の原因も大きく2つに分類されます。
1つはその原因がハッキリとわからない「原発性多汗症」。
ただし、原因がハッキリと分からないまでもこうした多汗症を起こす人は発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかと言われています。
また、重度の多汗症患者がいる家系に対する調査では遺伝的関与も示唆される報告が!?
マジ!?
ぱっつん
これに対してもう1つが他の疾患、怪我、神経障害、お薬の副作用が原因とされる「続発性多汗症」。
例えば、更年期障害や肥満、糖尿病による神経障害が挙げられ、お薬としては向神経薬や睡眠導入剤などの副作用として発汗があるものが挙げられます。
そう言えば最近汗かくかも...
ぱっつん
(更年期?)
ハヤシ
この他多汗症の症状を悪化させるものもあり、例えば香辛料であったり、タバコに含まれるニコチンだったりします。
特にニコチンは汗をかく汗腺を刺激するのでワキガの原因になる他、タバコの臭いに加え、汗の臭いが混ざってきつい体臭の原因になることもあります。
タバコ...
ぱっつん
多汗症とワキガ(腋臭症)は違う?
多汗症の人はワキガと結びつける人も多いと思いますが、全く違う病気です。
汗をたくさんかくという点では両者ともに同じですが、臭いのもととなる汗をたくさんかくのがワキガで多汗症だからといって必ずしもワキガを併発することはありません。
そうなんや
ぱっつん
多汗症の治療、対処法
まず自分が多汗症なのか?その可能性をチェックする必要があります。
ハヤシ
例えば、汗を滴り落ちるほどかいて常に拭き取らないと生活に支障が出たり、手や足の裏、わきが常に湿っているような感じがする場合は重度の多汗症であることが多く、医療機関での治療が必要なります。
また、緊張で過剰な汗をかいたり、大量の汗をかくことが長期間続いたり、汗ジミが目立ったりするなどの場合も多汗症が疑われます。
多汗症の外用薬および内服薬
こうした場合の治療、対処法としては軽度なら塩化アルミニウムを含むローションタイプの外用薬がおすすめ。
塩化アルミニウムは汗の出る穴(汗腺)をふさぐ効果があり、汗を抑えてくれます。
この場合、わきは効果が出やすいですが、手のひらや足の裏など効果が出にくい時は
ラップを使った密閉方法だと効果が出やすくなります。
ハヤシ
この他、原発性のわき多汗症に適応のあるソフピロニウム臭化物を含む外用薬もここ数年で発売されました。
こうした外用薬の他に多汗症に適応のある内服薬もあり、プロパンテリン臭化物、漢方薬の「補中益気湯」や「防已黄耆湯」が挙げられます。
漢方薬もあるんや
ぱっつん
ただし、注意しておきたいのがソフピロニウム臭化物、プロパンテリン臭化物といった抗コリン作用をもつお薬。
これらはその作用から眼圧が高くなったり、おしっこが出にくくなることがあるので、
緑内障や前立腺肥大の患者さんには使用することが出来ません。
ハヤシ
内服薬、外用薬以外の多汗症の治療
上記の他に手のひらや足の裏の多汗症の治療として、水道水の入った容器の中に浸し直流電流を流すことで汗の量を減らしていくイオントフォレーシスという治療があります。
この方法でも効果が得られない場合はA型ボツリヌス菌毒素製剤を患部に注射し、汗の量を減らしていく治療法も。
さらに効果が得られない場合、手術を行うことも。
手術は交感神経節を遮断するもので手のひらの多汗症にとても有効ですが、その代償として背中やおしりにたくさんの汗をかく症状が現れることがあります。
それはそれで困るかも...
ぱっつん
抗不安薬が処方されるケースも...
直接多汗症の適応があるわけではありませんが、たくさん汗をかくことにストレスを感じて不安を感じる方も少なからずおられます。
こうした場合、抗不安薬が処方されるケースもあります。
まとめ
これからの季節、たくさんの汗をかくことは誰でもあること。
ただ、多汗症となるとその症状が辛いだけでなく、メンタルも影響を受けることがあります。
日常生活に支障があるような症状はもちろん、もし今回挙げたような症状に当てはまり多汗症が疑われるような場合は皮膚科をはじめとする医療機関の受診をおすすめします。
汗が原因でストレスを感じているのなら早めの対応することが大切。
是非、今回のお話を参考にしてみて下さい。
大阪、寝屋川市の薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ