喘息って大人でもなる?大人の喘息の症状、治療薬について薬剤師が詳しく説明
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
みなさんは「喘息(ぜんそく)」って聞くとどんなイメージがありますか?
きっと「子供の病気でしょ」なんて思っている人も少ないでしょう。
しかし、薬局で調剤をしていると意外と大人になってはじめて喘息になったって患者さんに出会います。
そう、大人の喘息って決して珍しいことではなく意外と多かったりするんです!
ハヤシ
へぇ~
ぱっつん
そして、小児喘息とはその原因や特徴に違いがあります。
放っておくと症状は悪化し、呼吸困難など恐ろしい症状を引き起こす可能性のある喘息。
今回は喘息の中でも「大人の喘息」についてお話します。
咳や痰の症状が続いていて「もしかしたら...」と思っているあなた!
是非ご参考に。
ハヤシ
大人の喘息と小児喘息の違いとは?
喘息は慢性的に気道に炎症が起こり、そのため刺激に弱く咳や痰、喘息発作などの症状が起きる病気。
これは大人も子供も変わりはありません。
しかし、大人になってからの喘息は完治することが難しいと言われています。
ハヤシ
大人の喘息の特徴と小児喘息との違い
気道の慢性的炎症によって起こる喘息の原因は大人と子供で違うケースがあります。
そうなん?
ぱっつん
小児喘息の場合、そのほとんどが「アトピー型喘息」と呼ばれるアレルギーが関与する喘息。
花粉やダニなどがアレルゲン(アレルギーのもとになるもの)となって気道に炎症を起こします。
これに対して大人の喘息は小児喘息と同様の「アトピー型喘息」以外にアレルゲンが特定できない、あるいはアレルゲンがない「非アトピー型喘息」も多く見られます。
そして、大人の喘息の場合、子供の頃に喘息で治癒していたけど大人になって再度発症したケースもありますが、全然子供の頃に喘息の症状がなかったにもかかわらず
中高年になってはじめて発症するケースも多くあるのが特徴です。
ハヤシ
なんか厄介そう...
ぱっつん
喘息の症状に違いは?
喘息の症状に大人と子供で違いはありません。
ハヤシ
激しい咳や痰の症状、そして「喘鳴(ぜいめい)」と言われる発作の症状が代表的。
炎症によって気道が狭くなり呼吸がし難くなっておこるのが喘鳴です。
「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」といった音が喉や胸から起こるのが特徴。
子供に比べて、元々気道が広い大人がこのような喘鳴を起こす場合は喘息の可能性が高いといえます。
一見するとこれらの症状は風邪と間違いやすいですが、何週間も続いているのなら喘息の可能性があるので注意しましょう。
覚えとこ!
ぱっつん
大人の喘息が治りにくい理由
喘息は長期間に渡って治療を行うケースが多く、慢性疾患の一つと考えられます。
そして、アレルゲンが特定できない、あるいはない非アトピー型や喘息が悪化する原因(喫煙、ストレス、化粧品など)が多い大人の喘息は
なかなか治らないと言われています。
ハヤシ
さらに治療を途中で止めてしまったり、発作のある時だけ治療薬を使うなどを繰り返していると気道の壁が厚く硬くなる「気道リモデリング」が起こることに!
この気道モデリングは一度起こすと元には戻らないため、大人の喘息がなかなか治らないとともに重症化に繋がる原因の一つになります。
大人の喘息に対する予防策と治療薬
以上のような特徴をもつ大人の喘息に対してどういった予防を行い、治療を行っていくのか?
ここからお話します。
喘息を悪化させる要因とアレルゲンを除去!
炎症を起こし刺激に対して敏感になっている気道に対して、それを刺激する要因となるものの除去は欠かせません。
うんうん
ぱっつん
まずは風邪やインフルエンザなどの感染症にはならないように注意すること。
これらの感染症は気道に炎症を引き起こすからです。
インフルエンザに対しては予防接種を受けることがおすすめです。
ハヤシ
また、たばこや化粧品、香水なども気道の粘膜に刺激を与えるので注意。
禁煙をおすすめします。
ハヤシ
...
ぱっつん
ハウスダストや花粉、ペットの毛などもアレルゲンとなり同じように粘膜に刺激を与えることがあるので、部屋はこまめに掃除をするようにしましょう。
喘息の治療薬とその目的
最後に喘息の治療薬について。
喘息の治療薬には大きく2つあって発作を予防するために気道の炎症を抑えるお薬と実際に発作が起きた時に対処するお薬です。
発作を予防するお薬として代表的なものとして「吸入ステロイド薬」が挙げられます。
喘息って吸入薬のイメージあるわ!
ぱっつん
また、抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬など)も使われます。
さらには気道を広げるお薬も同時に使われることもあり、長時間作用型のβ2刺激薬やテオフィリン徐放製剤、長時間作用型抗コリン薬がこれに当たります。
こうしたお薬は先ほどお話ししたように「気道リモデリング」が起こらないようにするためにも
勝手に使用を中止するようなことはせず、医師の指示に従って使用を続けなければいけません。
ハヤシ
一方で発作が起こった時の治療薬としては短時間で作用する気管支拡張剤が使用されます。
主なものとしては短時間作用型のβ2刺激吸入薬やテオフィリン薬、抗コリン薬が挙げられます。
ただし、こうしたお薬はあくまでも発作に対応するお薬で喘息を根本的に治療するものではありません。
したがって、気道の炎症を抑えるお薬を使用して治療を行いながら必要に応じて使う必要があります。
まとめ
喘息は決して子供がなる病気ではなく、大人特に中高年にも起こりうる病気です。
そして、大人になり発症すると治りにくい病気でもあります。
ただし、今回お話したように放っておかずに適切な治療を受けながら、要因となるものを排除する予防策を講じることで健常な方と変わらない生活を送ることが出来るのも事実です。
症状がない、発作がないからといって吸入薬を使ったり使わなかったりせずに、しっかりと治療を行うことが重要。
正しく理解し、根気よく向き合うことが必要です。
中高年の方でもし長引く咳や痰の症状が気になる方は一度医療機関で相談してみて下さい。
ハヤシ
大阪、寝屋川市の薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ