避けては通れない高齢者の介護理由１位「認知症」！薬剤師がその症状とお薬について説明してみた

2021年8月27日

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大阪で薬局を営んでいます薬剤師ハヤシです。皆さんの健康をサポートする情報やお薬に関する記事を書いています。趣味はイラスト、スポーツ観戦。普段は、その辺にいる大阪のおっさんです。

こんにちは、薬剤師ハヤシです。

日本は言わずと知れた「高齢化社会」。

高齢者が高齢者を介護する「老々介護」も年々珍しくなくなってきています。

その実態を示すデータとして介護が必要となった要介護者と同居する介護者の年齢の組み合わせは60歳以上同士が74.2%、65歳以上同士が59.7%、75歳以上同士が33.1%というのがあります（要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合の年次推移　2019年　国民生活基礎調査の概況より）。

そんな状況の中、介護が必要になった理由は「脳卒中」や「高齢による衰弱」を抑えて「認知症」が第一位。

そして、日本人の65歳以上の高齢者の7人に1人ほど（平成24年度調べ）が認知症と言われています。

そこで今回は最近薬局で相談されることも多い「認知症」について。

その実体と治療方法などをお話します。

きっとこのブログを読んでくださっている人の中には実際に介護をしている人もいるかと思います。

そして、僕たち自身もいずれは直面するだろう「認知症」についてご参考にしていただければと思います。

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認知症ってどんな病気？治る認知症と治らない認知症

認知症には実はいくつかの種類があり、それらは「治る」ものと「治らない」ものに分類されます。

まずはこれらについてその特徴などを説明したいと思います。

「治る」認知症

慢性硬膜下血種、脳炎、甲状腺機能低下症などの疾患が原因で認知症が起きるケースがあります。

こうしたケースは元の病気を治療することで認知症も治る可能性が。

「治らない」認知症

①アルツハイマー型認知症

その中でも最も多くを占めるのがアルツハイマー型認知症で、初期の段階で記憶障害が起こります。

同じことを何度も聞いたり、物忘れが目立ったり、時間の間隔があいまいになるなどの症状。

そして、他のよく見られる症状として

②血管性認知症

次に多いのが脳梗塞や脳出血によって起きる血管性認知症。

症状が現れるのが早く、歩行困難や言語障害、感情のコントロールができないなどが挙げられます。

③レビー小体型認知症

認知症の中でも多彩な症状が現れるのがレビー小体型認知症。

最初は記憶障害よりも注意力、実行力の低下や幻視、妄想、そして手が震えたり、動きが遅くなるパーキンソン症状が目立ちます。

④前頭側頭型認知症

最後に主に前頭葉や側頭葉の障害が原因で起こる前頭側頭型認知症。

人格や行動の変化が起き、何度も同じ行為をするようになったり、物事に対するあらゆる意欲が低下したりすることがあります。

また障害が起きる場所によっては初期の段階から言語障害が目立つことがあります。

認知症の治療方法！薬物療法と非薬物療法

治る認知症については原因となる疾患の治療が主になりますが、治らない認知症について薬物療法と非薬物療法がすすめられます。

ここからは治らない認知症を対象に薬物療法と非薬物療法について説明していきます。

認知症の薬物療法

まず薬物療法の説明に入る前に理解しておくべきなのが、

現在あるお薬は「認知症の進行を遅らせ、患者さんの生活の質を高める」ことを目的としていることを理解しておかなければいけません。

そのため、お薬は大きく分けて2種類あり、１つは記憶障害や理解・判断力の障害、感情のコントロール、実行機能障害など中核症状を抑える認知機能改善薬。

もう一つがうつや妄想など心理・行動面の症状を和らげる向神経薬や睡眠導入剤です。

①認知機能改善薬

（ア）アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

記憶を保持したり、集中力に関する神経伝達物質アセチルコリンを増加させることで意欲を向上させるお薬です。

アセチルコリンが全身に広く作用する物質であるので、副作用としては食欲不振や吐気、下痢、悪心などに注意しなければいけません。

お薬としては

（イ）NMDA受容体拮抗剤

興奮性の神経物質グルタミン酸の作用が過剰にならないように抑制し、神経興奮を抑えるお薬。

副作用は浮遊性めまい、便秘、眠気など。

お薬としてはメマンチン（メマリー^©）があります。

②行動・心理症状を和らげるお薬

行動・心理症状に和らげ、生活の質を良くするために用いられます。

抗精神病薬、睡眠導入剤、抗うつ薬、あるいは抑肝散などの漢方薬があり、睡眠が十分にとれていない、昼夜逆転、イライラ、幻視や不安などといった症状を改善するために用いられます。

他にも抗パーキンソン病薬や抗てんかん薬などが用いられることも。

しかし、実際には

認知症の非薬物療法

非薬物療法はその言葉通りお薬を服用することはないので認知症の進行を遅らせたりするものではありませんが、生活の質を改善する効果が期待できます。

例えば、ゲームやパズル、あるいは麻雀などは脳トレになって認知機能の維持や回復の効果が、好きな植物を育てたりすることは時間や季節感を取り戻す効果が期待できます。

そして、音楽を聴くことで心地よくなり不安を解消できたり、歌を歌うことで言語障害に対する自信を取り戻したりすることも。

また、認知症と診断され家事をさせてもらえなくなり自信を失ってしまうケースもありますが、サポートを受けながらでも行うことで自信を取り戻すことが期待できます。

まとめ

今現在、日本が直面している高齢化社会において「認知症」は避けては通れない問題に。

残念ながら認知症を「治す」薬はなく進行を遅らせるだけにとどまっており、行動や心理症状についても周りがサポートするしかない状況です。

実際に薬局でご相談していただくケースもそのほとんどが認知症患者と介護者の接し方について。

これについては今回お話したことを参考に色々と試行錯誤しながら試していただきたいと思います。

しかし、親族であるとどうしても感情が先に出てしまい、介護をしている側が参ってしまうことも多々あるでしょう。

そんな時はかかりつけの医療機関があれば相談していただき、ない場合はもの忘れ外来、認知症外来あるいは認知症疾患医療センターの受診を検討してみて下さい。

また、各地域包括支援センターでも相談窓口を設けているのでご相談可能です。

一番やっちゃいけない事は一人で抱え込まないこと。

必ず相談できるところがあるので遠慮なく相談することが大切です。