痛み止めの湿布など貼り薬は飲み薬より効く?外用薬は内服薬より副作用が少ない?そんな疑問に答えてみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
腰や肩、膝の痛みを感じる時、内服薬よりも外用薬を使う方は非常に多いです。
外用薬には湿布、テープ、ゲル、クリーム、ローションなどがありますが、肩や腰、膝の痛みだけでなく、捻挫をしたり、打撲を負ったり、それらのケースで貼り薬は使われます。
湿布やテープを使う人、めっちゃ多いよなぁ。
ハヤシ
そやな。
わたしも肩こりひどい時に湿布貼ったりする。
ぱっつん
では、なぜこういったケースにおいて貼り薬など外用薬は飲み薬よりもドラッグストアなどで優先して購入されるのか?
飲み薬より副作用が少ない感じするし。
それに、痛いところに直接貼るから効く感じするやん。
ぱっつん
うんうん。
そう思って使ってる人多いやろうな。
ハヤシ
でも、本当に外用薬は内服薬よりもよく効き、副作用が少ないのでしょうか?
今回は湿布やテープなどの貼り薬を中心にお話しします。
また、その成分種類と使い分けについてもお話しするので是非ご参考に!
ハヤシ
ちなみに前回はこんなお話をしました。
ハヤシ
痛み止めの貼り薬と飲み薬、どっちが効くの?
先ほどお話ししたように「痛み止めの貼り薬は飲み薬よりもよく効く」というイメージを持たれている方は意外に多いと思います。
打撲や捻挫のような場合、直接痛みのある箇所に貼ることが出来るので素早く吸収されて効果を発揮するイメージが強いためでしょう。
しかし、実際には
痛みを抑える効果は貼り薬も飲み薬も変わりません。
ハヤシ
そうなん!?
ぱっつん
貼り薬を貼ると患部に有効成分がとどまり効果を発揮すると思われがちですが、皮膚から浸透し血中に移行して全身にとどくのは飲み薬と同じ。
有効成分が患部にとどく時間に多少の差はあるかもしれませんが、実は鎮痛効果に差はないと考えられています。
つまり、配合されている各成分の違いによって効果の差はあったとしても、
飲んだり貼ったり塗ったりの投与方法による効果の差はないとされているのです。
ハヤシ
ほうほう。
ぱっつん
ですから、診察を受ける際やOTCを購入する際に医師や薬剤師に状態をよくお話ししたうえで自分が欲しい剤形の希望を伝えていただくのも
アリです。
ハヤシ
外用薬は内服薬よりも副作用は少ないの?
次に「外用薬は内服薬よりも副作用が少ない!?」について。
これも先ほどの効果と同様にそう思っている方が多いです。
このことに関して正解は
投与方法の違うので、注意すべき副作用の症状が違います。
ハヤシ
内服薬に関しては以前お話ししたことがあるように胃に負担が生じるなど胃腸障害を注意しなけらばいけないものが多いです。
それに対して外用薬は胃腸障害の副作用は少ないものの、かぶれなどの皮膚に関する副作用に注意しなければいけません。
ハヤシ
かぶれたことあるぅ~
ぱっつん
例えば、ケトプロフェン(モーラス®、ミルタックス®)は貼りつけた箇所に直射日光が当たると光線過敏症と言われる皮膚炎を起こす事例が報告されています。
つまり、飲み薬と貼り薬のどちらが副作用が少ないということではなくその副作用に違いがあるのです。
逆にその違いから自分に合ったお薬の選択に役立てることもできます。
例えば、胃腸が弱いと感じる方であれば貼り薬を、かぶれやすい体質や日中に野外でお仕事をする方などは飲み薬を選ぶ方が良いでしょう。
ハヤシ
決して貼り薬は副作用が少ないお薬というわけではなくリスクは当然あり、軽く見て必要以上に貼ったりなど適当な使い方はしないようにしましょう。
痛み止めの貼り薬を選ぶ際の注意事項!
痛み止めの貼り薬の種類について。
「どの痛み止めを選んでも一緒。大差はない。」と思ってOTC医薬品を購入したり、あるいは
家族が使っていた貼り薬を使ったりしてへん?
ハヤシ
えっ!?
ぱっつん
先程お話した副作用によって飲み薬か貼り薬かを選んだように、年齢や妊娠の有無などによって選ぶお薬が変わってきますので安易に貼らないように!
以下、一部の貼り薬について選択する時の注意点を挙げてみました。
年齢制限があるもの
15歳未満の子供は使用できない
~ジクロフェナク(ボルタレン®)~
医療用、OTC医薬品ともあり。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症約)の中では鎮痛効果が強い。光線過敏症の報告あり。
~フェルビナク(セルタッチ®)~
医療用、OTC医薬品ともあり。
~ロキソプロフェン(ロキソニン®)~
医療用、OTC医薬品ともあり。
~ケトプロフェン(モーラス®)~
医療用、OTC医薬品ともあり。光線過敏症の報告が多い(貼りつけ後4週間は直射日光を避けること)。
11歳未満の子供は使用できない
~インドメタシン(カトレップ®)~
医療用、OTC医薬品ともあり。
妊娠、授乳中に制限のあるもの
妊娠中後期(28週以降)に使用できない
ジクロフェナク(ボルタレン®)、フェルビナク(セルタッチ®)、インドメタシン(カトレップ®)、ケトプロフェン(モーラス®)、ロキソプロフェン(ロキソニン®)
授乳中に使用できない
フェルビナク(セルタッチ®)
ほぼ制限がないもの
~サリチル酸メチル(MS冷シップ®)~
副作用が少ないものの、鎮痛効果は優しい。
以上のように、例えば年齢や妊娠の有無で使用できるものできないものが変わってくるので特にOTC医薬品の購入の際には注意しましょう。
オッケー!
ぱっつん
まとめ
貼り薬はドラッグストア等で容易に購入できるので病院で受診する時間の短縮ができ、打撲や捻挫をした時など非常に役立ちます。
しかし、その反面気軽に使うことが出来る分、正しい使い方をしていないケースもあります。
貼り薬は決して副作用のリスクが少ないお薬というわけではありません。
情報提供文書や指導・説明をしっかりと理解し、使うことが大切です。
そのうえでしばらくしても痛みが引かない場合や安静にしていても常に痛みがある場合、強いしびれ感がある場合などは病院への受診が勧められるケースもあります。
痛み止めの貼り薬など外用薬はOTC医薬品でも医療用と同じ成分のものが多く販売されているだけに個人個人がより注意を払い使用しましょう。
みなさまのご健康を願っております。
大阪の薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ
参考:各薬剤の添付文書、インタビューフォーム、今日の治療薬2021