糖尿病のお薬っていっぱいあるけど必要?どうやって治療は行われるの?を解説してみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
みなさんの中には高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病でお薬を服用している人もいるのでは?
そして、こんな疑問を持ったことないでしょうか?
なんで、こんなに薬飲まなあかんの?
ぱっつん
例えば、糖尿病のお薬といっても現在7種類ほどあります。
そして、多くの患者さんがそれらのお薬のうち数種類を服用することに。
それぞれのお薬は働く仕組みに違いがあって、症状や原因によって使い分けられたり、組み合わせて処方されます。
そこで今回はそんな糖尿病の飲み薬についてお話します。
ハヤシ
実に日本人の6人に1人が糖尿病もしくは予備群と言われ、まさに国民病。
そのお薬はどのような症状に対してどのような目的で使われるのか?
おもに2型糖尿病の治療の流れとともに説明していきますので、
「血糖値が気になる」「家族に糖尿病が多い」「健診で指摘された」なんて人は是非ご参考に!
ハヤシ
糖尿病の治療の流れ
糖尿病には1型と2型があり、患者さんのほとんどが2型糖尿病です。
そして、その原因の多くはズバリ「生活習慣の乱れ」。
食べ過ぎ、運動不足、ストレス、肥満、喫煙などが挙げられます。
ハヤシ
...
ぱっつん
こうした原因からわかるように治療は、「食べ過ぎない」「運動する」「ストレスを溜めない」「太らない」、「たばこを吸わない」といった生活習慣を改善する食事療法や運動療法が基本になります。
したがって、糖尿病と診断されたとしてもすぐにお薬を服用するのではなく、2~3カ月の間バランスの取れた食事をとって適度な運動を行うことで改善をはかることからスタートします。
このように血糖値のコントロールがうまくいかない場合は次のステップに移っていき、うまくコントロールがいけばそのステップを継続することになります。
そして、治療においてポイントとなるのが上記に示してあるように
血糖降下薬、インスリン注射を使用しても食事療法と運動療法は行わなければいけないこと!
並行して行わないとなかなかお薬の効果を適切に得ることはできないのです。
ハヤシ
薬だけってわけにはいかねんな
ぱっつん
糖尿病治療薬の種類とその特徴
ではここからは2型糖尿病の治療薬に着目して、それぞれの特徴と注意点などをまとめていきます。
2型糖尿病のお薬は7種類(昨年飲み薬が販売されたGLP-1受容体作動薬については除いています)。
それぞれ作用の仕方、目的に違いがあったりします。
というのも、高くなった糖は悪循環を招くことが!
ハヤシ
まず高血糖が続くとインスリンの効きが悪くなります(インスリン抵抗性増大)。
それでもインスリンを分泌しようと膵臓はさらに頑張ることになりますが、それも続かず今度はインスリンが不足することに(インスリン分泌低下)。
こうしてさらなる高血糖が食後や空腹時にも起こるようになります(高血糖状態)。
こうしたインスリン抵抗性増大→インスリ分泌低下→高血糖状態と続く悪循環は、
「糖毒性」と言われます。
ハヤシ
なんか恐いな...
ぱっつん
そして、この悪循環を各々の段階で改善するのが血糖降下薬です。
インスリンの効きを改善するお薬(インスリン抵抗性改善薬)
インスリンの効きを改善するお薬として挙げられるのが、
ビグアナイド薬とチアゾリジン薬。
ハヤシ
①ビグアナイド薬
~メトホルミン(メトグルコ®)~
肝臓で糖を作る働きを抑えるお薬。他にも筋肉での糖の消費を促したりします。
しかし、その作用はスルホニル尿素薬に比べると弱め。
注意としては造影剤を使った検査(ヨード造影剤)を受ける時は原則一時休止する必要があります。
②チアゾリジン薬
~ピオグリタゾン(アクトス®)~
筋肉や肝臓に作用してインスリンの効きを良くするお薬。
低血糖を起こしにくいお薬でもあります。
注意としてはむくみや体重増加が現れることがあり、特に心不全を起こしたことのある患者さんは使用を避けます。
インスリンの分泌促進を促すお薬(インスリン分泌促進薬)
インスリンの分泌を促進するお薬として挙げられるのが、
スルホニル尿素(SU)薬、速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)やDDP-4阻害薬。
ハヤシ
①スルホニル尿素(SU)薬
~グリメピリド(アマリール®)、グリクラシド(グリミクロン®)など~
膵臓に働きかけて長時間インスリンの分泌を促進するお薬。
空腹時の血糖を下げる効果が強い一方で低血糖のリスクがあり、食前(食事の30分前)に服用する時は服用後食事をしっかり摂るようにしましょう。
注意としては、体重が増えやすくなるというデメリットがあります。
ぱっつん
②速攻型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
~ミチグリニド(グルファスト®)、ナテグリニド(スターシス®)、レバグリニド(シュアポスト®)など~
SU薬と同様に膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促して食後の高血糖を改善するお薬。
短時間で効果を現わすお薬で食直前(食事の10分前以内)に服用しなければいけません。
食直前!?
ぱっつん
③DDP-4阻害薬
~シタグリプチン(ジャヌビア®)、ビルダグリプチン(エクア®)、アログリプチン(ネシーナ®)、リナグリプチン(トラゼンタ®)、テネリグリプチン(テネリア®)など~
小腸から分泌されてインスリンの分泌を促すインクレチンというホルモン。
このホルモンはDDP-4という酵素によって分解されてしまうので、この酵素の働きを邪魔をしてインクレチンの働きを維持するのがこのお薬。
低血糖のリスクが低く、体重増加も起こしにくいという利点があります。
最近、積極的に処方されるようになった印象のお薬です。
ハヤシ
食後や空腹時の高血糖状態を改善するお薬(糖吸収・糖排泄調整薬)
食後や空腹時の高血糖状態を改善するお薬として挙げられるのが、
α- グルコシダーゼ阻害薬とSGLT2阻害薬。
ハヤシ
①α-グルコシターゼ阻害薬薬
~ボグリボース(ベイスン®)、ミグリトール(セイブル®)など~
小腸でのブドウ糖の吸収を遅らせるお薬。
食後の高血糖を抑えるお薬で、食直前の服用となります。
voicer icon=”https://tosa-pharmacy.com/wp-content/uploads/2020/11/pattun4.jpg” name=”ぱっつん”]また食直前!?[/voicer]
低血糖を起こした時はブドウ糖を必ず摂る必要があります。
そして、飲み始めの症状として
お腹の張りや下痢、おならが出るなどがあります。
ハヤシ
②SGLT2阻害薬
~イプラグリフロジン(スーグラ®)、ダパグリフロジン(フォシーガ®)、ルセオグリフロジン(ルセフィ®)、カナグリフロジン(カナグル®)、エンパグリフロジン(ジャディアンス®)など~
尿から糖を排泄して血糖値を下げるお薬。体重の減少も起こるお薬でもあります。
当然、尿検査をすると尿糖が+となるので検査を受けるような時は必ず事前に服用していることを伝えるようにしましょう。
まとめ
今回お話ししたように2型糖尿病のお薬はたくさんあり、それぞれが糖毒性と言われる高血糖の悪循環の各段階に対して効果を発揮するものです。
したがって、患者さん自身がどんな状態であるかで使い分けられ、あるいは組み合わせて使用されます。
そして、何より忘れてはいけないのが糖尿病である限りは運動療法と食事療法は外せないこと!
お薬だけで「なんとかなることはない」ということです。
今回のお話で生活習慣の乱れが引き起こす糖尿病に対して、正しく理解していただけると幸いです。
そして、予備群の方も糖尿病に移行しないようにバランスの取れた食事と適度な運動に取り組んだ下さい。
大阪、寝屋川市の薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ