坐薬って内服薬とどう違う?メリット・デメリットは?わかりやすく解説してみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
お薬には色々な形状があります。
錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、塗り薬、吸入薬、注射薬、そして坐薬。
それらは目的に合わせてより効果が発揮できるように作られていることはもちろん、使いやすさも考えられて作られています。
子供が発熱した時や痛みがひどく辛い症状の時とか、「坐薬」を頓服で出された経験があるんちゃう?
ハヤシ
うんうん
ぱっつん
坐薬は飲み薬が服用しづらい状況にある子供や高齢者によく処方されます。
そして、体内で速やかに溶けて吸収されるので即効性に優れているのが特徴です。
今回は坐薬について内服薬との違いやメリットについてお話しします。
どちらかと言うと苦手な人が多いかと思うんやけど。
ハヤシ
わたし苦手やわ。
ぱっつん
そんな方にもまずは坐薬を使う意味をよく知ってもらって、今後必要となる場面で思い出していただきたいなって思います。
ハヤシ
ちなみに前回はこんなお話をしました。
ハヤシ
坐薬ってどんなお薬?内服薬との違いやそのメリット!
坐薬は肛門や膣に入れて効果を発揮しますが、作用の仕方には大きく2つあります。
痔の坐薬のように肛門の周辺に局所的に作用するものと、痛み止めのように腸から吸収されて血中に移行し全身に効果を示すもの。
そして、薬効も色々とあり、解熱鎮痛剤(熱や痛みをおさえる)、抗炎症剤(炎症をおさえる)、消化管運動改善剤(吐き気をおさえる)、抗けいれん剤(けいれんを止める、けいれんを予防する)、痔治療剤、便秘治療剤などなど。
でも、これって錠剤やカプセル、塗り薬とかでもあるんちゃう?
ぱっつん
確かに。
でも、坐薬には内服薬とかと違うところがあって、それが坐薬を使うメリットでもあったりすんねん。
ハヤシ
そうなんや。
ぱっつん
坐薬と内服薬の違い、そしてメリットは
・内服薬が肝臓で分解(代謝と言う)を受けてその効果が弱まってしまうことがあるのに対して、坐薬の場合は代謝されることなく直接血液内に移行するので素早くお薬が効果を発揮する。
・内服薬よりも胃腸障害が少ない。
・飲み薬が飲みづらい状況の人や子ども、老人に対しても使いやすい。
・内服薬は食事によって吸収される量や速さが影響を受けるが、坐薬にはそれがない。
・においや味を感じることなく使うことができる。
・食前や食後など関係なく使うことができる。
以上のことが挙げられます。
子供が高熱の場合など機嫌が悪くなって、内服薬だとなかなか飲んでくれない場合があります。
そんな時こそ坐薬が有効やねん!
ハヤシ
子供の場合はね。
ぱっつん
坐薬のデメリット!
素早くよく効くイメージの坐薬。
とはいえ、当然デメリットもありまんねん。
ハヤシ
なになに?
ぱっつん
デメリットとは
・腸内を刺激して便意をもよおし、薬剤が吸収されずに出されてしまうことがある。
・下痢を伴う症状には適さない。
・1日に何度も使用するのに適さない。
・子供に使用する際など、微調整がしづらい。
・坐薬は冷所で保存するのが一般的。そのため、持ち歩いたりするのは適さない。
など挙げられます。
特に坐薬を入れた時って、すぐにトイレに行きたくなったりするやろ?
ハヤシ
それ、わかるわ~
ぱっつん
坐薬は入れる前に排便を済ませてから使用するようにしましょう。
坐薬ってどうやって保管するの?困った時の対処方法は?
ここからは坐薬の保管方法と困った時の対処法について。
普段あまり使うことがない坐薬なので困らないように参考にしてください。
ハヤシ
坐薬の保管方法
先程のお話ししたように坐薬は体の中で速やかに溶けて吸収されるように作られています。
そのため、保存する際に室温が高いと溶けてしまい形が変わってしまうことも。
すべてのお薬が冷所で保存しなければいけないということではありませんが、夏など気温が高い時は冷蔵庫で保存するのが正解です。
詳しい保存方法については調剤の際に薬剤師に確認するようにしましょう。
ハヤシ
坐薬をうまく挿入できなかった時の対応
一旦は挿入できたけどすぐに出てきてしまった場合、形が崩れることなく残っている時はそのまま挿入しましょう。
もう少し時間が経ち、挿入後5分ほど経ってから出てきてしまった場合。
この場合も形が崩れていなければ、再度挿入してください。
しかし、形が崩れていてどのくらい吸収されたかわからない場合。
しばらく様子を見て効果が現れるか判断し、必要なら再度挿入します。
ただ、お薬によってその効果がどのくらいで現れてどのくらい持続するのかは違います。
判断に迷うような場合は自己判断する前に必ず薬剤師に相談するようにしましょう。
ハヤシ
オッケー!
ぱっつん
坐薬を複数挿入する時の注意
坐薬を2種類以上使う場面は大人の場合はほぼありませんが、子供の場合は十分にあり得ること。
解熱剤、吐き気止め、抗けいれん薬などの坐薬は子供によく使われ、このうち2種類を処方されることも珍しい事ではありません。
そんな時、迷うのが挿入の順番とその方法。
ハヤシ
確かにそれ、迷いそう!?
ぱっつん
順番はどれからでもいいというわけではないねん。
もし間違ってしまうとお薬の効果に影響することがあるから注意せなあかん。
ハヤシ
ではその順番ですが、それはお薬の有効成分(主薬)を混ぜ合わせる「基剤」によって決まります。
この基剤には水溶性と油脂性があるのですが、
同一基剤の場合、1つ目の坐薬を入れてから5分程間隔を空けて2つ目の坐薬を入れるようにしましょう。
ただし、基剤が異なる場合は先に水溶性基剤の坐薬を入れてから30分ほど間隔を空けて油脂性基剤の坐薬を入れるようにして下さい。
ハヤシ
へぇ~そうなんや。
ぱっつん
以下に油脂性基剤と水溶性基剤の坐薬の一例を示しました。
ただし、2種類以上処方された時はその順番について必ず医師や薬剤師に確認してください。
基剤 | 成分 |
油脂性基剤 | アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウム(解熱鎮痛剤)、フェノバルビタール(催眠、鎮静、抗けいれん剤)、リドカイン(痔治療薬) |
水溶性基剤 | ジアゼパム(抗けいれん剤)、ドンペリドン(消化管運動改善剤)、抱水クロラール(催眠鎮静薬) |
まとめ
今回は坐薬についてお話ししました。
大人よりも小さなお子さんがいらっしゃる方のほうが使われる場面が多いかと思います。
とはいえ、錠剤、カプセル、粉薬に水剤といったお薬に比べるとあまり使ったことのないお薬。
分かっているようでいざ使うとなると迷ってしまうことが多いのも坐薬です。
それがかわいい子供のこととなればなおさら焦ってしまうのも無理ありません。
内服薬に比べて即効性があり、辛い状況にある時ほどその有効性を発揮するのが坐薬。
正しい使い方や保管方法をこの機会にしっかりと覚えていただければ幸いです。
ハヤシ
みなさまのご健康を願っております。
薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ