インフルエンザの予防接種を受けるとかからない!?その有効性を解説してみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
早いものでもう11月。
今年もあと2カ月を切りました。
ホンマに歳をとるにつけ、時間の流れを早く感じることと言ったらありゃしない。
ハヤシ
最近老けたしな
ぱっつん
それはそうと、皆さんはインフルエンザ予防接種を受けました?
ハヤシ
急に話変えるなぁ~
ぱっつん
今年はコロナウイルスの影響もあり、その需要が高まっているようで病院やクリニックにもたくさんの問い合わせが来ているようです。
そして、接種開始時期が今年は例年よりも早く、定期接種対象者(65 歳以上の方等)の方は10月1日からスタート。
それ以外の方は10月26日からとなっています。
インフルエンザというと薬局のお仕事をしていてよく聞かれるのが
「予防接種したら、インフルエンザにかからへんの?」
ってこと。
ハヤシ
私も聞いたことある!
ぱっつん
そんな質問を患者さんからされた時って、
「かからないわけではありませんよ。でも、インフルエンザにかかったとしても重症化するリスクは下がります。」
と答える薬剤師が圧倒的に多いように思います。
でもね、患者さんはインフルエンザ予防接種の有効性ってあんまり説明を受けた経験がなかったり、理解していないケースってすごく多いです。
ハヤシ
有効性?
ぱっつん
そこで今回は意外と知られていない、理解されていないインフルエンザ予防接種の有効性についてお話しします。
インフルエンザ予防接種を受ける参考に是非ご覧いただけると嬉しいです。
インフルエンザワクチンの効果、接種する意味って何?
まずはインフルエンザワクチンの予防接種を受ける意味、そしてその効果を正しく理解しておく必要があります。
厚生労働省の”令和元年度インフルエンザQ&A”をよると、インフルエンザワクチンの最も大きな効果は
「重症化を予防すること」とされてます。
ハヤシ
インフルエンザウイルスは口や鼻、眼の粘膜から体の中に入って細胞に侵入して増殖。
「感染」をします。
そして、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛みなどの症状が現れてきます。
いわゆる「発病」です。
インフルエンザワクチンには「感染」を完全に抑え込む効果はなく、「発病」を抑える効果が一定程度認められています。
ハヤシ
そうなんや!?
ぱっつん
本来、発病しても1週間程度で回復しますが、肺炎や脳症と言った「重症化」を起こす方もおられ、特に基礎疾患がある人や高齢者はそのリスクが高くなります。
この「重症化」のリスクを軽減、予防することが国内研究でも報告されているインフルエンザワクチンの最も大きな効果なのです。
ハヤシ
知らんかったわぁ~
ぱっつん
このことをもとに、まずはインフルエンザワクチンが何に効果があって、接種することにどんな意味があるのか正しく理解しましょう。
わかりやすくインフルエンザ予防接種の有効率を解説!
そうは言っても気になるのは、
「インフルエンザワクチンを接種すると、どのくらいインフルエンザにかかりにくくなるの?」ってことですよね。
実際にはそれを基準に「受けようかな?やっぱ止めようかな?」って考える人も多いはず。
ハヤシ
そう、それそれ!
ぱっつん
そこでここからは厚生労働省の”令和元年度インフルエンザQ&A”をもとに、その有効性を薬剤師ハヤシなりにわかりやすく説明したいと思います。
まずこのQ&Aでは、
と報告されており、一般的にも有効率は60%と理解されています。
しかし、みんながみんなこのことを正しく理解できているかと言うと…
決してそうではありません。
ハヤシ
えっ!?
ぱっつん
多くの人はこの有効率60%を「10人の人が接種したら6人かからへんのやろ」って思っています。
実はこれは間違い。
ハヤシ
マジで!?そう思ってた。
ぱっつん
ここで言う有効性とは、
のこと言います。
う~んわからん…
ぱっつん
確かにちょっとわかり難いよね。
ハヤシ
では、わかりやすく説明しましょう。
まずインフルエンザの予防接種を受けなかった人100人、受けた人200人いたとします。
【それぞれのインフルエンザの発病率】
受けなかった人100人のうち、30人がインフルエンザを発病(発病率30%)。
一方受けた人200人のうち、24人がインフルエンザを発病(発病率12%)。
これからこの2つのケースを比較してその有効性を考えるのですが、ベースになるのはインフルエンザの予防接種を受けなかった人。
つまり、受けず発症した30人がもし予防接種をうけていたら「何人の人が発病しなかったか?」ということが「有効性」ということになります。
ハヤシ
実際に上の例を計算していきます。
まず2つのケースの対象者数を合わせます。
ハヤシ
予防接種を受けた人200人を100人に換算すると、発病率12%なので発病者は12人に。
したがって、同じ対象者数100人に対して受けなかった人のうち発病者は30人、受けた人のうち発病者は12人となります。
これらの数値から受けなかった人の発病者30人は、もし受けていれば発病者は12人に減っていたと考え、
30-12=18人の人がインフルエンザワクチンによって発病せずに済んだと考えます。
したがって、
18(人)÷30(人)×100(%)=60%
となり、インフルエンザワクチンの有効性は60%となります。
ハヤシ
そんな風に考えるんやね
ぱっつん
このことから、最初に言った「10人の人が接種したら6人かからへん」の10人はそもそも発病するかしないかわからない人たちであり、有効性を考えるうえでの基準とはならないのです。
そもそもかからないようにすることが大切!
毎年、インフルエンザワクチンの接種開始時期になると「受けた方がええかなぁ~?」ってご相談を受けます。
それと同時に「インフルエンザにかかったことないし、大丈夫やろ」って言われる患者さんも少なくありません。
でもね、ここまでのお話でわかるようにインフルエンザワクチンの一番の有効性は「かかる?かからない?」ではなく「重症化を予防する」こと。
だから、今までがどうかと言うことよりも自分の年齢や基礎疾患の有無をよく考えて判断する方が良いです。
ハヤシ
そして、受ける受けない関わらず、そもそもかからないように予防することが大切。
外出後のうがい、手洗いやお部屋の乾燥対策、睡眠を十分にとるなどの規則正しい生活が基本です。
まとめ
今回は意外と理解されていないインフルエンザワクチンの有効性を中心にお話ししました。
今回のお話でその有効性を少しでも理解していただいて、参考にしていただければ幸いです。
今年はコロナウイルスの流行もあり、たくさんの人がこれから迎える寒い時期に不安を感じていると思います。
高齢の方、妊婦さん、受験生の皆さんなど、特にそうかなって。
ハヤシ
そういった個々の事情を含め、かかりつけの医師などに十分に相談したうえで予防接種を受けるかの判断をして下さいね。
薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ