血液サラサラにするお薬って違いはあるの?1つで良くない?そんな疑問に詳しく答えてみた
こんにちは、薬剤師ハヤシです。
なあなあ、うちのオトンが血液サラサラにするお薬何個か飲んでるんやけど...
1つじゃアカンの?
ぱっつん
それ、めっちゃいい質問!
ハヤシ
「血液をサラサラにするお薬」と聞くと成分は違えど、さも目的は1つであるようなイメージ。
しか~し!
作用の仕方も違えば、服用してもらう目的も全然違ったりします。
ハヤシ
例えば、よく「○○ってお薬飲んでるんやけど、納豆食べたらアカンのやろ」って聞かれますが...
それは「ワーファリン®」というお薬を服用する場合であって他のお薬の場合はそんな制限はありません。
さらに、このような質問をされる方が「納豆を食べたいから」という理由でワーファリン以外のすべてのお薬に変更が可能かというとそういうわけでもないのです。
つまり、「血液をサラサラにする」という表現が同じでも患者さんの病気によってお薬は使い分けられています。
今回は「血液をサラサラにするお薬」について。
どんなお薬があってどんな違いがあるのか?その使い目的も絡めながら説明していこうと思います。
ご自身だけでなく、ご両親やご家族にもし服用されている方がいるなら!
とっても大事なお薬なので、是非参考にしていただいて「服用している意味」をご理解ください。
ハヤシ
ちなみに前回はこんなお話をしました。
ハヤシ
血液サラサラのお薬は実は2種類あります!
一般によく言われる「血液をサラサラにするお薬」は2種類。
「抗凝固薬」と「抗血小板薬」があります。
ハヤシ
えっ、2種類だけ!?
ぱっつん
血液をサラサラにするお薬:抗凝固薬
「抗凝固薬」とは血液が固まるのに必要な「血液凝固因子」と言われるものを阻害して血液を固まりにくくするお薬。
ワーファリン®、イグザレルト®、プラザキサ®、エリキュース®などが挙げられます。
ワーファリンって聞いたことある!
ぱっつん
血液凝固因子とは主に静脈の血栓(血のかたまり)に関与しています。
例えば心不全や不整脈が起こり血液の流れが悪くなって血が固まる時に関係すんねん。
ハヤシ
へぇ~
ぱっつん
血液をサラサラにするお薬:抗血小板薬
「抗血小板薬」は血液が固まる際の血小板の凝集を抑制するお薬。
バイアスピリン®、プラビックス®、エフィエント®、プレタール®などが挙げられます。
血小板が関与して血栓ができるのは主に動脈。
この場合は高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が原因で動脈硬化が進んだ時に血小板が関係して動脈で血栓が出来やすくなるねん。
ハヤシ
さっきと全然違うんやな。
ぱっつん
血液をサラサラにするお薬の使い分けとは?
ここまでお話したように血液をサラサラにするお薬は大きく2種類あって作用の仕方には違いがあります。
この違いを利用して目的ごとにお薬を使い分けることになります。
血液をサラサラにするために抗凝固薬を使う目的
不整脈や心不全が原因で血液の流れが悪くなってできる血栓を防ぐのに使われるのが抗凝固薬。
このようなケースの場合、血液凝固因子が活性化して血液中の赤血球を巻き込んで血栓はできようとします。
そして、こうしてできる血栓は赤くどろっとした血のかたまりであることから「赤色血栓」とも呼ばれています。
赤色血栓は比較的サイズが大きな血栓やねん。
だから、心臓や脳にある太い血管もつまらせてしまう可能性があって危険なんよ。
ハヤシ
ヤバそう...
ぱっつん
そこで血液凝固因子を阻害して血液を固まらないようにするのが抗凝固薬というわけです。
例えば、心臓でできた赤色血栓が脳の血管をつまらせる「心原性脳塞栓症」のような重大なケースに抗凝固薬は使われます。
血液をサラサラにするために抗血小板薬を使う目的
一方、高血圧や高脂血症、糖尿病のような生活習慣病が原因で動脈硬化が進むと、血管の内側に「プラーク」と呼ばれる異常組織が出来てしまうようになります。
プラーク?
ぱっつん
このプラークが何らかの刺激によって裂けたり、壊れたりするとその箇所に血小板が集まってきて血を固まらせて血栓ができてしまうことに。
...
ぱっつん
こうしてできた血栓は「白色血栓」と呼ばれ、動脈の早い血液の流れに乗って脳の血管をつまらせてしまうことがあります。
そこで、血栓ができる過程の中で血小板が集まるのを防ぐことで血栓ができるのを防ぐのが抗血小板薬。
ハヤシ
ええやん、抗血小板薬!
ぱっつん
この他にも心臓の狭くなった血管を拡げるためにステントを入れている患者さんに対して、その箇所がつまらないように抗血小板薬は使われます。
このように抗凝固薬と抗血小板薬はそれぞれ違った目的で使われますが、併用するケースもあります。
ハヤシ
その場合、怪我などして血が止まりにくくなるリスクが上がるので出血などには十分注意する必要があります。
最近行われているワクチン接種でもこうしたお薬を服用している人には接種後、2分以上しっかりと抑えるように指導されています。
ハヤシ
「血液をサラサラにする」という表現だけでイメージしてはダメ!
「血液をサラサラにするお薬」と言っても2種類あり、それらを使う目的は全く違うことが理解できたと思います。
ハヤシ
抗凝固薬を飲んでいるから抗血小板薬を飲まなくていいというわけではなく、逆に抗血小板薬を飲んでいるから抗凝固薬を飲まなくていいというわけではありません。
全く別のお薬でありほとんどの場合代わりに使うことはできず、仮に効果があったとしてもリスクが高くなってしまうことがあります。
「血液をサラサラにする」という言葉だけのイメージだけで判断せず、医師や薬剤の指導や説明に従ってきちんと服用することが大切です。
ハヤシ
オッケー!
ぱっつん
まとめ
「血液をサラサラにするお薬」の種類は多く、特に中高年の方で服用している人は意外と多いです。
あなた自身、もしくは身近な人や家族にもきっと服用している人がいると思います。
ハヤシ
しかし、その言葉のイメージだけでその種類や目的をしっかりと理解している人は少ないように思われます。
そのため、自己判断で中止してしまったり、サプリメントなどを服用しているから大丈夫と思っている人もチラホラ。
対象となる病気には重大なものもあり、そのお薬を飲む必要性はしっかりと理解しておく必要があります。
そのために今回のお話を通して「血液をサラサラにするお薬」を知っていただく機会になれば幸いです。
ハヤシ
大阪、寝屋川市の薬剤師ハヤシでした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハヤシ